スペインで11月11日(水)に予定されている24時間の全国ゼネストは、11月2日の時点で予定どおり行われる見通しだ。中止や延期の発表はなく、異議申し立てを予告していた経営者団体CEOEも、10月22日に実施前の申し立てを見送った。一方、ゼネストの日の鉄道、飛行機、地下鉄、市バスの最低運行(servicios mínimos)は、まだ発表されていない。鉄道では、Renfe運転士組合SEMAFが前日の10日に終日、翌12日に部分的なストを別に予定しており、3日続けて乱れるおそれがある。主要な観光施設の臨時休業の発表は見当たらないが、マドリードの王立劇場やバルセロナのリセウ大劇場は11日の公演を別の日に移した。デモは、バルセロナが17時30分、ビルバオが12時30分、マラガが18時などと案内されている。旅行や移動の予定がある人は、最低運行の発表と、利用する便や列車ごとの案内を直前まで確かめたい。
予定どおり、CEOEは実施前の異議申し立てを見送り
ゼネストを呼びかけているのは、大手労組のCCOOとUGTのほか、CGT、CNT、Intersindical、借り手の組合などで、バスクのELAとLAB、ガリシアのCIGも支持している。一方、USOとCSIFは加わらないと表明した。Renfe運転士組合SEMAFは、参加するかどうかを組合員それぞれの判断に委ねている。住宅と賃金を掲げ、家賃の上限、公営の賃貸住宅の拡充、最低賃金の引き上げなどを求めている。10月19日に労働省へ届け出た。
ストの時間は、原則として11日の0時から24時まで。公的部門と民間のすべての業種が対象だが、交代制の職場では、10日の夜に始まる勤務や12日にかかる勤務も含まれる。CCOOとUGTは、セウタを呼びかけの対象から外している。一方、CGTはセウタとメリリャも含めてストを届け出ている。
CEOEの会長は当初、ストは選挙目的で違法だとして異議を申し立てると表明していた。しかしCEOEは10月22日夜、実施前の申し立てはしないと方針を変えた。実施後の対応は否定していない。11月2日までに、ストの中止や延期、規模の縮小の発表は確認できない。
11月29日には総選挙があり、選挙運動は13日0時に始まる。ゼネストはその2日前になる。労組は特定の政党への投票を呼びかける目的ではないとしつつ、住宅と賃金を選挙の争点にしたいとしている。国民党(PP)とVoxはストを政治的だと批判している。
最低運行はまだ発表されていない
ストの日に最低限動かす交通や公共サービスの割合は、それぞれを受け持つ国、州、市などが決める。たとえば高速鉄道や長距離列車、空港は国が、カタルーニャの近郊鉄道ロダリエスや地下鉄、市バスは州や市が決める。労組は10月22日、交通の最低運行の案を運輸省に出したが、これは提案で、決定ではない。11月2日10時の時点で、ゼネストの日の最低運行の正式な割合や対象の便・列車は、国の路線でも、マドリードやバルセロナの地下鉄・市バスでも発表されていない。発表の時期も示されていない。公共サービスでは、アンダルシア州が10月30日、裁判所などの司法の最低限の業務を定めた。医療や学校などは、地域ごとに確かめる必要がある。
前回の大規模なゼネストの2012年11月14日には、高速鉄道AVEが20%、近郊鉄道が原則30%(朝6〜9時は35%)の運行を保障された。ただし、これは当時の数字で、今回の割合を示すものではない。
鉄道は10日から12日まで、別々のストが重なる
SEMAFは10月29日、Renfeグループを対象に、11月10日(火)は終日、12日(木)は部分的なストを行うと発表した。11日のゼネストとは別の呼びかけだ。12日のストは、6時20分〜9時20分、14時20分〜17時20分、21時20分〜23時20分と報じられているが、組合の声明では時刻を確かめられていない。10日・12日の最低運行と運休する列車は、まだ発表されていない。Renfeを使う人は、10日から12日まで3日続けて影響が出るおそれがある。高速鉄道Ouigoでも、前々日の9日(月)に、運転士の部分スト(6〜12時、18時〜23時59分)が予定されている。
10月29日のRenfe運転士のストでは、最低運行に指定された列車にも運休が出た。この日は前日の列車事故で高速線も止まっていた。最低運行が発表された後も、利用する列車の運行状況を確かめたい。10月29日の割合を11月の各日に当てはめることはできない。また、マドリードとアンダルシアを結ぶ高速鉄道は、事故の影響で通しの運行ができなくなっている。一部の区間では列車が走り、別の区間ではバスによる代わりの輸送もあるため、各社の最新の案内を確かめたい。
飛行機、欠航の発表は確認できず
空港を運営するAenaや、イベリア、ブエリング、エア・ヨーロッパ、ライアンエアーなどの航空会社から、11日の欠航や、ゼネストに合わせた予約変更・払い戻しの案内が出たことは、11月2日10時の時点で確認できていない。最低運行の決定の前後に、航空会社が運航の計画を変える可能性がある。予約した便の運航状況と、航空会社からの連絡を確かめたい。EUの規則の対象の便を航空会社が欠航にした場合、払い戻しか代わりの便を選べ、待つ間の食事などの世話も受けられる。一方、補償金はストの事情によっては出ないことがある。詳しくは欠航した場合の記事で伝えている。
観光施設や店、公演
サグラダ・ファミリア、プラド美術館、アルハンブラについて、11日の臨時休業の発表は見当たらない。商店や飲食店なども含め、休むかどうかは働く人ごとの判断で、施設や店によって対応が分かれうる。一方、公演には変更が出ている。マドリードの王立劇場は、11日のオペラ『フィガロの結婚』を9日19時30分に繰り上げた。報道によると、行けない人の変更・払い戻しの申し込みは4日14時が期限だ。バルセロナのリセウ大劇場も、11日のオペラの公演を12日19時30分に移した。マドリードでは、ミュージカルの公演日の変更やコンサートの中止も報じられている。11日の公演の予約がある人は、早めに主催者の案内を確かめたい。
各地のデモの予定
労組の幹部は、今回は職場を止めるだけでなく、午後のデモに多くの人が集まるかどうかが成功の鍵だと話している。11月2日までに報じられた主なデモの予定は次のとおり。
| 都市 | 時刻と場所 |
|---|---|
| バルセロナ | 17時30分、グラシア地区のジャルディネッツ・ダ・グラシア(経路は未発表) |
| ビルバオ | 12時30分、アリアガ劇場前(ELA、LABなど) |
| マラガ | 18時、ヘネラル・トリホス広場 |
| イビサ | 18時、フィゲレテスを出発(終点は報道が分かれている) |
| サンタンデール | 19時、クアトロ・カミーノスからポルティカダ広場まで |
マドリードのデモの時刻と経路は、まだ確認できていない。バルセロナでは、10月24日の「Blocus」の呼びかけに伴う略奪と放火の後、警察が関連する動きを警戒しており、ゼネストへの便乗を懸念する報道もある。ただ、10月31日の2度目の呼びかけでは大きな騒ぎは起きなかった。11日に騒ぎが起きると決まったわけではない。デモの時間帯は、中心部で交通規制がかかることがある。
旅行者が確かめたいこと
- 11月9〜12日に鉄道で移動する予定があれば、Renfe、Iryo、Ouigoの案内を確認する。9日はOuigo、10日と12日はRenfeの運転士の別のストがある。最低運行と運休の列車は、各日の発表を待つ必要がある。
- グラナダの地下鉄では、11日にゼネストとは別の部分ストも予定されている。
- 11日の飛行機は、予約した航空会社からの連絡と運航状況を確かめる。EUの規則の対象の便を航空会社が欠航にした場合は、払い戻しか代わりの便を選べる。自分で予約を取り消す前に、航空会社の条件を確かめたい。
- 地下鉄や市バスも、減便や遅れが出るおそれがある。最低運行と事業者の案内を確かめ、空港への移動には時間の余裕をみておきたい。
- 11日の公演の予約は、すぐに主催者の案内を確かめる。日程が変わり、変更の申し込みに期限を設けている劇場がある。観光施設やレストランも、前日までに営業を確かめたい。
- デモの時間帯は、出発地や経路の周辺を避けると移動しやすい。
在スペイン日本国大使館と外務省の海外安全ホームページでは、11月2日の時点で、このゼネストについての注意喚起は見当たらなかった。
この記事は11月2日10時(スペイン本土時間。日本時間は同日18時)までに確認できた情報に基づく。最低運行や欠航の発表があれば、続報で伝える。ゼネストが決まった経緯はこちら、労組の要求はこちら、交通の最低運行の案はこちら、Renfe運転士の10日・12日のストはこちら、11月から12月上旬のほかのストとデモの予定はこちらで伝えている。

















